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Column 2023年3月

4月の幼稚園だより


									
三月のある日、教室のカーテンの影にてんとう虫が止まっていました。
無言で私に教えてくれた男の子に、人差し指を口に当て、「ヒミツにしようね」というサインを送ると、神妙な顔をして、同じサインを返してくれました。
でも、なんだか落ち着かない様子でソワソワしています。
きっと、誰かに見つからないか、気が気じゃないんだろうな、と思っていると、もう一度寄ってきて「お外に出してあげる」とささやくではありませんか!
“Good idea!”と、私が賛成して窓を開けると、彼はカーテンからてんとう虫をすくいあげ、”See you!”と言いながら、外に出してあげていました。
てんとう虫は小さな手から真っ逆さまに落下しかけたのですが、その言葉に元気をもらったのか、一気に羽を広げて、どこかへ飛んでいきました。
てんとう虫を自由な世界に羽ばたかせてあげたその手は、とても柔らかく、やさしい手でした。
これから先も自然界の命を尊重し続ける手であって欲しいと、願わずにはいられませんでした。
 
 KCKの園庭では、春になると、子どもたちがよく土の中のミミズを見つけます。
ダンゴムシも、アリも活発に動きまわる姿を見かけます。
虫たちだけではありません。
木々の冬芽はほころび、コブシ、モモ、アンズ、サクラ等の花が開き始めます。
命の美しさ、はかなさ、そしてたくましさ。
寒い冬が過ぎ、温かい春の到来と共に、園庭では命の活動が見えるようになってまいりました。
それらの命からの学びは、子どもたちの無意識の中にしっかりと刻み込まれていくに違いありません。
 
 子どもたちとたくさんのドキドキとワクワクを体験した2022年度がまもなく終了します。
今年度、保護者の皆様から頂いたご理解とご協力に感謝申し上げます。
4月になるとそれぞれの子が一学年上がり、新しい年度がスタートします。
一人ひとりにとって素敵な春になるよう、お祈りしています。
Have a wonderful spring vacation!

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