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Column 幼稚園だより

11月の幼稚園だより


									
 Sports Dayが終わり、School内では日に日にHalloween のデコレーションが増えて参りました。
エントランスでは大人の背丈より大きな骸骨がギターを持って、今にもロックを歌い出しそうです。
階段を登る途中では、双子の骸骨がバイオリンを持ってお行儀よくお座りして出番を待っています。
大窓から駐車場をも見下ろすのは、見上げるほどの大きなワラ男。
その後ろ姿の恐ろしい事!
タランチュラのような大きな黒いクモが、エントランスで靴の脱ぎ履きをするお友だちを上からじっと見つめています。
大小さまざまのジャックオランタンが陽気にニヤけ顔で並んでいます。もちろん、子どもたちが作った数々のクラフトも飾られていて、一層賑やかに感じます。

 
 怖いものが大の苦手な私は、この時期、ゾクゾクしながら過ごします。お友だちと廊下を歩きながら、”I don’t want to look at that way, because I am scared of that Mr. Skeleton. (あそこにいるガイコツさんがこわいから、あっちは見たくないのよ)”と言って、手のひらで視線を隠しながら歩きます。
すると、いろいろな面白い答えが返ってきます。例えば、こちらが怯えている様子を面白がりながら “I’m not scared. He is cute! (あたし、ちっともこわくな〜い。キュートじゃん!)”と言う子。
真摯に心配して、 “Don’t worry, he wouldn’t move. It’s just a decoration for Halloween. Because it’s almost Halloween. (動かないから大丈夫。ハロウィンが近いからさ〜あ、デコレーションなんだよ)”と、優しく説明してくれる子。
あるいは、 “Oh, maybe he wants to talk to you. (なんか、おしゃべりしたそうな顔してるよ)”と鼻をヒクヒクさせながら教えてくれる子。それぞれの性格がよく伝わってきます。

 
 ありがたい事に、強がりを言う子も、冷静に受け応えてくれる子も、おふざけの返しをしてくる子も、どの子も、私が救いの手を求めると、快く握ってエスコートしてくれます。
ああ、君たちのこの手の温もりがあるから、今年のHalloween も楽しめる。そう、思う今日この頃です。

10月の幼稚園だより


									
  9月上旬のある日、Caterpillarの先生が園庭の地面に白い線をひきはじめました。
“What’s this?(なんだ、これは?)”と興味津々のCocoonさんが集まってきました。
Caterpillarさんが線の端っこに2列に並び始めると、Cocoonさんたちはピンときた様子で、急にあれこれと先頭の二人にアドバイスを始めました。
そうです。Sports Dayにむけてのかけっこの練習がはじまるのです。
Cocoonさんは自分の一年前を思い出して「Go!って言ったら、こうやって走ってあっちまで行くんだよ。まだだよ…。」と、身振り手振りで「かけっこ」なるものを伝授しようとしているのです。
 
  やがて、先生の声で“Ready, Set, Go!”の合図と同時に二人が走りだすと、スタート地点に更にたくさんのCocoonさんが集まり、山の中腹には応援するCocoonさんが横一列に並んで座っています。
弟の走りが気になる子もいれば、バスで一緒になるあの子の走りを応援したい子もいます。
新しいペアが走り出す度に、スタート地点のCocoonさんは手をぱちぱち叩いて飛びあがりながら、“Good job!”と喜んでいます。
山の上からは、手拍子で音頭をとりながらの応援が始まりました。
「かけっこ」初心者のCaterpillarさんたちに、去年の自分を重ねて応援しているのです。
Caterpillarさんたちは声援の中を嬉しそうに走って行きました。
ニコニコと彼らの様子を見ていたMr.Siが“Look at them! I love it! They clap for the Caterpillars! (観て!こんなふうにCaterpillarさんの事を応援してるなんて、感動だよ!)”とCocoonさんが身もだえしながらCaterpillarさんに拍手をおくっている仕草を真似しています。
 
  Caterpillarさん全員が走り終わると、お友だちがずらりとスタート地点に並んで、誰かの号令で一斉に走り出す、かけっこの自主練が始まりました。
オレンジ、黄色、緑、青などいろいろな帽子の色が並んでいます。
CocoonさんとButterflyさんは、今年もリレーに挑戦します。
かけっことは違い、バトンをお友だちに手渡すリレーは一味違った楽しみを味わえるチャンスです。
一年、二年、と時が経つ間に、彼らの内側に育まれていくものが確かにある事を感じられる、幸せなひと時でした。

9月の幼稚園だより


									
 「ねえ、カブトムシ、Stag Beatle 見つけてよ」
外遊び中に、一人の男の子から頼まれました。
夏の日差しが照り付け、蝉の鳴き声が響き渡る園庭。
“OK. Let’s go and look for it.(わかった。探してみよう)”と答えると、二人で木々の間を歩き始めました。
「見つけてよ」と言われても、いったいどこにそんなカッコイイものがいるのか、見当もつきませんが、最初からサジを投げるわけにはいきません。
とにかく何かを見つけようと探しはじめました。
ところが、最初は「ああ!あそこに蝉の抜け殻がある!」と教えてもらっても、“Where?…Where? I can not find it…(え?どこ、どこ?見えないんだけど、、、?)” という調子で、私の目には何も見えないのです。
「ほら、ここから見て。ぼくの真上だよ」とその子に言われて、ようやく見つける事ができました。まったく頼りにならない先生です。
 
 しばらく後、少しづつ目が慣れてきて、木の肌や葉っぱに潜む生き物が、だんだんと見えるようになってきました。
そして、木の幹に一匹の蝉を見つけたのです。
“Oh, cicada! I found a cicada!(あ、蝉みーつけた!)”アブラゼミでした。
自分で見つけたのが嬉しくて満面の笑みでふりむくと、女の子と目が合いました。
“Did you know that a cicada is there?(あそこに蝉がいるって、知ってた?)” と声をかけました。
女の子は静かにこう言ったのです。
“I know.(知ってるよ)”「ああ、そうか、知ってたのか。」と思いながら蝉に目を戻すと、羽の端が破れている蝉だったのです。
“Did you know the wings are broken?(羽が破れてるって知ってた?)”そう言うと、彼女はまた静かに“I know.”と答えました。
そして、蝉は長い間地面の中で過ごし、やっと地上に出てきたら飛べるようになって、一週間ぐらいで死んでしまうと教えてくれました。
「だから、この蝉はもう弱ってるんじゃないかな」彼女がそう呟いた時、アブラゼミがパッと視界から消えました。
「あたしゃ、まだ元気よ!」とでも言っているかのように素早く飛んで行ってしまったのです。
思わず二人で顔を見合わせて大笑い。
 
 木々の間で「何か生き物を見付けるぞ!」と信念を持って探している時、時計が止まっているような感覚でした。
結局その日はカブトムシは見つからず、蝉の抜け殻をいくつかとアブラゼミ数匹を見つけただけでした。
でも、自分の目に見えなかった自然界の細部がだんだんと見えて来たり、アブラゼミの背中をそおっと触らせてもらった感覚は、とても新鮮でした。
 
 “Clean up time! Lunch time!(お片付けだよ〜。ランチの時間だよ〜)”という声が小さく聞こえました。
なるほど。本気で自然を愛し、楽しんでいる時ほど、その声は遠くに聞こえるものだ、と納得した夏でした。

8月の幼稚園だより


									
 7月のCooking Dayでタジンチキンを作った時のこと。
普通のジャガイモに混ざって紫色のジャガイモを調理しました。
子どもたちとカットする時も、その不思議な紫色のジャガイモは注目の的。
“It’s so purple!”と驚きの声があがっていました。手に持ってしげしげと見つめ、匂いを嗅いでみる子もいました。
 さて、その後、子どもたちが外で水遊びを楽しんで教室に戻ると、キッチンからなんとも美味しそうな香りが漂っていました。
着替えを終えてlunch timeが始まると、しばし教室が静まります。
“Yummy! This is yummy!”と声をあげる子も、夢中でタジンチキンとご飯を口に運んでいました。
普段、食が細い子も、不思議な事にCooking Dayの日はうれしそうに自分でスプーンやフォークを持って食べています。
ふと見ると、自分の器に入った紫色のジャガイモとにらめっこしている男の子がいました。
“What’s wrong with you?(どうしたの?)”と顔を覗きこむと、“It’s purple. I don’t like it.(紫色だから、きらいなの。)”と答えてくれました。
“Oh, I see. Did you try? (なるほどね。で、食べてみたの?)”と聞くと、首を横にふります。
まだ味を知る前から、紫色のジャガイモを食べたい気持ちになれなかったようです。
 さっそく、“Then, let’s try, first. (まずは、お味見してみよう)”と言って、胡麻粒ほどの大きさの紫色のかけらをフォークの先に乗せてあげると、おずおずと鼻を近づけて匂いをチェックした後、舌の先に乗せて味を確認していました。 
“That was too small to check the tast, right? (味見するには、小さすぎたね)”と言うと、 “Yes, too small.(うん、小さすぎ)”との事。
今度は豆粒ほどのかけらを乗せたフォークを勧めてあげると、するりと口の中に入っていきました。 
“Oh, … this is potato. The color is purple, and it’s potato. (ああ、これはジャガイモだ。紫色で、ジャガイモなんだ)”口の中の感触を確かめるようにゆっくりと教えてくれました。納得顔です。
“Yes, the color is beautiful! Look at this! (ほら、見て。こんなに綺麗な色だよ!)”とさらにフォークの上にかけらを乗せてあげると、フォークを持って食べ始め、全て完食していました。
 子どもたちにとって、いつも食べていない食材、あるいは初めての食材を口の中に入れて飲み込むということは、とても勇気がいる事です。
私たちは、その都度できるだけサポートしてほんの少しの味見、あるいは鼻で嗅いでもらって、新しい物を体験してもらいたい、チャレンジしてみてもらいたいと思ってサポートします。
その時、もし食べられなくても、あるいは好きでなくても、ちょこっとお味見することで、新しい大きな世界が広がる可能性があるのです。
昨日より今日、今日より明日と、成長する彼らは、自分が納得いく瞬間がきた途端、何事もなかったかのようにハードルを超える事があります。
食材の香り、感触、色の変化など、大人にはごく当たり前なことも、子ども達にとっては初めての新鮮な経験であることも多くあります。
彼らは食べる事を通して生きる事も学んでいくのです。
 
 なが〜い夏休み。親子でCooking Dayを開催して、一緒に食材をさわり、料理をする過程のごく一部でも良いので、一緒に取り組んでみるのはいかがでしょう?

7月の幼稚園だより


									
 教室に色とりどりのプールバックが用意されたとたん、待っていましたとばかりに暑い日もやってきました。
Water playの始まりです。
ミストのように優しい水、雨のように降ってくる水、くるくると回る曲線が生きているように見える水、色々な水を触ります。
ある子は手を差し出して、静かに感触を確かめ、ある子は歓声をあげて、大はしゃぎ。ある子は濡れようか、どうしようかとウロウロした後、「えい!」とばかりにお水にグイッと近づきます。
 
 子どもたちが覚悟を決める瞬間、それはそれは素敵な表情を見せてくれます。
まだ濡れていない彼らの中で「お水、触ってみたいな」「冷たいかな」「濡れちゃっていいのかな?」「ドキドキするなぁ」といろんな思いが駆け巡るのです。
そして、本人の意思がその子を突き動かし、「えい!」と思い切りよく水に飛び込むその瞬間、なんとも言えない満面の笑みが顔中に広がります。
自然と「ひゃー」「きゃー」と声が出るお友だちもたくさんいます。
今まであれやこれやと思いを巡らせていたことは一気に吹っ飛んでしまい、心が解放される瞬間です。
その横顔をみていると、ああ、なんて素敵なんだろうと、うっとりします。
”You made a good choice! Good job!”と声をかけたくなります。
 
 ダイナミックにwater playを楽しんだ後、全身が濡れて体に張り付いた服を着替えるのは至難の技ですが、どのお友だちもCaterpillarさんからButterflyさんへ成長する中で、だんだん自分でできるようになっていきます。
彼らと一緒に生活する中で、慣れないことに戸惑い、躊躇している様子が見られる時、濡れたら着替えれば良い、転んだら起き上がれば良い、汚れたら洗えば良い、失敗してもやり直せる、と小さな出来事一つひとつにエールを送ります。
自分自身の感情に素直に、そして思い切って決断をし、行動できるようになってもらいたい。そして飛び込んだ先でたくさんの感動を体験してもらいたい。
そう願います。

6月の幼稚園だより


									
毎日の園庭遊びで、子どもたちの手を見ていると、面白い世界が広がります。
 大きな石をそうっと持ち上げて、そこに見つけたダンゴムシを愛おしそうにつまみあげ、手のひらで散歩させている女の子。
その横から人差し指一本を出して軽〜くタッチをして引っ込め、全身に電気が走ったかのようにプルプルしながらケラケラ笑い出す子。
 男の子の小さな手に引かれて一本の木の近くへ行き、彼が幹を指差すので見てみると、アリの行列が上へ下へと動いています。
「なんだ?」「どして?」「どこに?」せかせかと歩いているアリを見て、溢れ出る疑問をアリに向かって忙しくささやいています。
落ち葉を手に取り、アリの通り道にそっとそえて、アリを一匹でも乗せてみようとしている間、アリたちの声を聞こうと一生懸命耳をすませているかのようでした。
 
ガチャポンプのハンドルを握る子の手はグッと力を入れて下ろします。
その度に「どれだけ水が出て来るかな?」と期待をしているのがよくわかります。
ところが、1回おろしても水が出てこず、2回、3回と上げ下げしても出てこない時があります。
「どうしてだろう?」と思っている間に、手を洗いにきたButterfly さんが”Excuse me!”とやってきて、力強くハンドルを握り、リズム良く上下させると、あっという間に水が吹き出して来ます。
「ああ、そうやるんだな」と納得顔。改めて自分の手でハンドルを握り、早いリズムで上下させてみると、自分でもびっくりするほど水が出てきて、顔中で笑い出します。
 
人間の手は、大昔から好奇心と共に文化や文明を編み出してきました。
園庭で子どもたちの手を見ていると、「なるほど」と思います。
自分で楽しいことを見つけ、チャレンジしていく精神の持ち主の手。
これから先、何を見つけ、何を創造していく手に成長するのでしょう。
楽しみです。
そして、今だから握らせてくれるその手をとれる幸せを忘れないようにしたいと思います。

5月の幼稚園だより


									
新年度が始まり、こんな出来事がありました。
トイレの用事を終えた新CocoonさんがCaterpillar Orangeのお部屋に続くドアを開けて、3秒後にゆっくりと閉めて今の教室に向かっていきます。
担任だったMarikoの姿はなくRachelがいる。
更に、以前のクラスメイトの姿がない事に「いったいこれはどういう事だ?
……そうだ! ぼくの教室はここではなくなったのだ!」と頭の中で思いが巡る3秒間です。
自分の目で確認して、扉を閉め、確かな足取りで今の教室へ向かう後ろ姿を見ていると、彼が「ぼくは行くべき場所を知っているんだ」と、納得している事がよくわかります。
ただ、その時は納得していても、その後もつい前年度と同じ扉を開けて、同じように3秒後に閉めることが何度か続く子もいるようです。 
 
また、新Butterfly さんがお外遊びに行く際、一瞬、昨年度の自分のshoes boxの前で膝を曲げ、次の瞬間ハッとして、今年度のshoes boxを探しに立ち上がる事があります。
新Caterpillar さんがPre School 時代に使っていたshoes 置き場に自分の靴を置きそうになり、先生たちに、”You have your own place over there.”と声をかけられ、「そうだった!」という表情で奥の靴箱に向かう姿もあります。
そう。どのクラスでも、子どもたちも先生たちも、新しいルーティーンに慣れるためには、時間が必要なのです。
 
「慣れる」の「慣」の漢字には、「時間的につながる、続く状態、心に積み重ねる」などという意味があります。
プリスクールからCaterpillarへ、CaterpillarからCocoonへ、CocoonからButterflyへ。
新しい年度も、子ども達は一つひとつの事をじっくりと楽しみながら積み重ねていきます。
今年度も、「ご家庭とKCKのチーム」で子ども達の成長を一緒に喜びながら、楽しんでサポートしていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします!

4月の幼稚園だより


									
 “Rock, Scissors, Paper, 1, 2, 3!(じゃんけんぽん!)”
じゃんけんをする二人のCocoonさんがいました。
勝つと、“Thank you!”と言いながら、木製のブロックを一つ負けた方からもらっています。
負けた方は、持っていかれるブロックを見送りながら、“Oh, no!”と大げさに頭を両手で覆っていたり、取られまいとブロックの周りを腕でガードしてみたりと忙しいそうです。
もちろん、じゃんけんですから、勝ったり負けたり、勝ち続ける時も、負け続ける時もあるし、あいこの時もあります。
その度に表情をコロコロ変えながら飽きる事なく延々とじゃんけんをしているのです。
やっている自分たちの気持ちが上がったり下がったりするのが面白くなってきて、ケラケラ笑いながら更にオーバーにリアクションをしています。
 
 この二人、実はとても負けず嫌いな面があり、勝負事で負けると地団駄踏んで悔しがる、あるいは “One more time! One more time!(もう一回!もう一回!)”と繰り返し訴えてくる事もあるのです。
二人とも特に仲が良いわけではなく、たまたまこの時は遊びの流れでじゃんけんをする事にハマってしまい、こんな愉快な時間を過ごしていたのです。
 
 じゃんけんという遊びは、とてもシンプルです。
けれどもそれを楽しめるには、いくつもの必要な能力があるように思います。
自分の指を正確にコントロールできる事、リズムに合わせて自分の手を出せる事、勝敗を正確に判別できる事、そしてどんな結果になったとしてもある程度感情をポジティブに保てる事。
目の前で愉快にじゃんけん合戦をしている二人の笑顔を見ていると、彼らの心の成長が見られ、「いつの間にこんなに成長していたんだろう、、、」と感心せずにはいられませんでした。
勝っても負けてもケラケラ笑う彼らは、勝つ時もあれば負ける時もあるという人生の大切な教訓を学んでいるようにも見えました。 
 
 2024年度も、子どもたちを信じて私たちは歩み始めます。

3月の幼稚園だより


									
 2月のある日、園庭に出た子どもたちがしゃがみ込んで熱心に地面を観察していました。
“Wow! It’s so cold!”“It’s melting!” “So soft!” “It’s ice!”と声をあげながら、ある子は指先でつつき、ある子はつまみあげ、ある子はお鍋に集めようとしています。
そう。彼らが夢中になっているのは霜柱。
夜間の冷え込みで、地表部分が凍り、その凍りついた層のすぐ下に地面の水分が凍りついていくうちに、あの神秘的な繊細な霜柱ができていくそうです。
ニョキッと生えた氷のようにも見える霜柱は、園庭の木陰のそこかしこに広がっています。

 霜柱が見られるには、いくつかの条件が満たされる必要があるらしいです。
まず一つは地中に適度な水分がある事。地面が踏み固められすぎていない事。そして、地表だけでなく、土の中の温度も0℃以下になる事。
それから、土の粒子の大きさが大きすぎず細かすぎない事。
関東地方の赤土は、粒子の大きさが霜柱ができるのにパーフェクトな大きさなのだそうです。
一つひとつの条件が重なった時、霜柱が出来上がり、しかも子どもたちのお外遊びの時間まで日陰になっているエリアにだけ残っているのです。
大自然が見せてくれる奇跡とでも言いましょうか。

 気をつけて見回すと、私たちの日常には、奇跡が溢れています。
もし、一つでも違う選択をしていたら、決して見ることが叶わなかった風景、あるいは知らなかった事実。
もし、あの日、あの時、違う天候だったら、実現できなかっただろう行事ごと。
もし、あの人に、あの時、出会っていなかったら、今の自分はなかっただろうという出会い。
私たちがKCKで子どもたちと過ごせた1日1日が、そして一瞬一瞬が奇跡の連続です。 

 “Look! I’m gonna make ice soup!” 無邪気な笑顔でお鍋に入れた霜柱コレクションを差し出して見せてくれたButterflyさんがいました。
この広い宇宙の中で君と出会えた奇跡に感謝。
大自然の奇跡を大いに喜び、自分流の楽しみ方を編みだせるしなやかな心に乾杯。
そして、卒園おめでとう。

2月の幼稚園だより


									
Winter Holidayが終わった最初の登園日。
“Good morning, Erish! I go to Disney Land!” “Oh, you WENT to Disney Land? Nice!”
“Erish, I eat mochi!” “Oh, you ATE RICE CAKES?” “Yes, rice cakes. I eat a lot!” 
教室に入るとお休み中、自分が何をしたか、どこに行ったか、口々に教えてくれる子どもたちの姿がありました。
彼らの英語は、現在形や過去形、日本語、英語、何もかもがごちゃごちゃと混ざっていて、「正しい英語」というわけではありません。
でも、「伝えたい!」という気持ちが抑えられず、次々と口から出てきます。
先生は伝わってきた情報を頼りに、英語をさりげなく訂正しつつ最高の笑顔でその思い全てを受け止めてくれます。
中には先生が訂正してくれた言葉をリピートする子もいますが、ほとんどの子どもたちはその流れの中でおしゃべりを続けます。
 
人とつながる時に一生懸命自分で知っている言葉を使って説明する、あるいは不完全な自分をそのまま公に出せる大胆さは子どもたちがこの先の人生を生きていく上で、大切なスピリットであるに違いありません。
そのスピリットはいかにして育まれるか?
人間は赤ちゃんや幼児であろうと、大人であろうと、自分の話を聞いてくれる相手が、必ず自分の言葉をしっかり受け止めてくれる、そして「愛」のある言葉を返してくれると信じられる時、信頼関係が生まれます。
そのゆるぎない信頼関係の中に身をおける事で、自分自身を信じる気持ちと世の中を信じる気持ち両方が育まれていきます。
だからこそ相手と繋がりたい。繋がるためには「How(どのように体裁を整えるか)」ではなく、「What(何を言いたいか、したいか)」に安心して集中できるようになるのではないでしょうか。
春から夏、秋、そして冬、長い時間を共に過ごし、わくわくドキドキを一緒に体験してきた中で育まれた信頼関係が、今、確かにあることを感じます。こんなに嬉しいことはありません。

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